※木村拓哉に関してがっつり削ってますので、キムタクファンは読まない方が無難です。それでも良い方は読んでくださいね。
レジェンド&バタフライ
☆☆★★★
監督 大友啓史
脚本 古沢良太
配給 東映
上映時間 168分
こんにちは、しんじです。
今回は話題の映画 木村拓哉主演「THE LEGEND & BUTTERFLY」を鑑賞いたしました。
そちらの感想を書こうと思います。
この映画は東映70周年記念映画とする超大作で、制作費が日本映画としては巨額の20億円、そして今やベテラン俳優として君臨する木村拓哉が主演を務め、制作側からは超大作という冠に恥じることない映画でしょう。
この映画は2013年1月27日公開とし、ほんの最近まで映画館で上映していたのに、早くもアマプラに登場です。
本当にどういう事なんでしょうね。
この辺の考察もしてみたいと思います。
ということで、あらすじはもう歴史に書かれている通りなので割愛して、映画の感想をサクッと書きたいと思います。
〇感想
【良かったよ(*´▽`*)】
さて、物語は斎藤道三の娘である濃姫が、織田信長のところに嫁いでくる所から始まります。
若き信長は取り巻きと自由奔放に生きるうつけもの、方や濃姫は斎藤道三にこれまた自由に育てられ、その為に女でありながら男勝りに育ってしまっている。
この対比が素晴らしかったと思う。
これまでの生き方で培われた器の大きさを信長は見せつけられることになる。
この映画の最大の良いところは、信長の数々の武勲は実は信長という駒を動かした濃姫のなすものであったという事。
信長は今までイエスマンの取り巻きの中で自由に生きてきたため、底が浅く、軍略会議でも直ぐ手詰まりになる。
先に頭で考え行動が二の次になってしまうのだ。
だが濃姫は違う。
行動力とともにその中で活路を開いていく。
それこそが天下をとる者の考え方と信長に刷り込ませていくのだ。
また天下を見てその先の海の向こうを見ようとしていたのが濃姫であったことも面白い。
ここがこの映画の最大の魅力であると言えよう。
とても面白いシナリオとなっている。
そしてこの男勝りの濃姫が少し屈折しているところも興味深いところだ。
信長と濃姫がお忍びで下城して町を歩いているとスリにあってしまう。
そのスリは乞食の集落の子供で、2人はこの集落まで追いかけて来るのだが、先に剣を抜き乞食の血しぶきをあげたのが濃姫だというのが面白いですよね。
ここは凄く光っていました。
そして猛った血に、今度は性欲が露わになり信長の上に跨るとか、この辺の少し歪んでいるところを表現しているのは素晴らしかった。
そしてグダグダとラブロマンスの場面を引っ張らないのも個人的にはGOODです!
私は、そういうイチャイチャはいらなくてストーリーを進めてほしい派なので。
と、ここまでは本当に素晴らしいと言ってもよい映画です。
綾瀬はるかの目の動き、表情、所作まで最高の演技だったのではないでしょうか。
ここまでが良い点です。
【最悪じゃ(。-`ω-)】
さて…. お待たせいたしました。
ここから削ります。
先にも言ったように綾瀬はるかの目の動き、表情、所作は本当に良かった。
また声の荒げ方、静め方は俳優力を見させてもらった。
こらっ、木村拓哉。
お前な、表情の作り方のパターンが4種類くらいしかないんじゃないのか?
あの直ぐにきょどるような目の動きやめろよ。
きっと木村拓哉のお得意としているものなのかもしれないけど、それどの映画、ドラマでもやっているだろう。
そして演技が固いんだよ。
木村拓哉ってカメラフレームに入ると自分で決めた演技を型どおりにするでしょ。
もう決めた演技を乱さずやろうとする。
笑う演技は最初に決めたままこう!
怒った演技は決めたとおりにこう!
そんな風に見えるから演技のふり幅がすご~く小さいのですよね。
抑えてしゃべる声はいいだろう。
だけど声を荒げた途端に直ぐに馬脚を現してしまう。
演技幅が小さいから声を荒げると戦国時代劇から一気に現代劇に変わってしまう。
もうちょっと主演じゃない役をいろいろやって演技の幅を広げたほうがいい。
それとさ、迫力ある演技って声を荒げる事ではないんですよね。
ゲイリー・オールドマンとかの演技を手本に勉強してください。
内面の迫力をだす演技のね。
そしてその演技の幅が狭くて台無しにしてしまった重要場面がこの場面。
比叡山の容赦ない焼き討ちを濃姫に諫められる信長。
ここはさ、濃姫の野望のままに動いた信長が、合戦の残酷さや政治というものの為に、もはや自由奔放でなくなってしまった悲しみを表現する場面だろ。見事なカッスカスの演技だ。
濃姫の向こうに映る信長のシルエットに悪鬼になるしかない悲哀が全然感じられない。あったとしても10のうち2くらいかな。
あとこれは演出の問題だけどさ、この信長の悲哀を見せるのに足りないところをいくつか挙げさせてもらおう。
まずは対比だよ。
濃姫の野望に手を貸す前、血塗られる前の信長をなぜもっと豪快に描かなかったのか。
私が監督ならうつけものゆえ豪快に笑ったり怒ったり、もっと思うがままの信長を描くけどね。
それなのに木村拓哉の信長は自由にしていた頃もどこか居心地悪そうなきょどった目をするんだよね。全然自由を感じない。ただ仲間とじゃれ合っているだけ。
それとさ、だからこそ魔王となった信長は声を荒げてはダメなんだと思う。
怒りさえも縛られ、怒る前に斬るくらいの恐ろしい存在として描かなきゃ、そこから抜け出せない悲哀をだせないじゃないか。
そして「魔王」と呼ばれるまでの場面をなぜすっ飛ばした?
もうちょっと血で染まっていくしかない場面を挟んでいかないと、いきなり心変わりですか? ってなるでしょう。
もしかして上映時間の問題でカットしましたか?
それと前々から指摘している日本映画の悪いところ。
なぜに笑いを挟もうとするのかな?
「前半は明るく→後半はシリアス」にしたかった意図はわかるよ。
でもさ、テレビドラマサイズのコメディを入れないで欲しいな。
コメディで笑いをとろうとするところが浅はか。
前半は単に感情の思うまま生きる豪快な信長を表現すれば、自ずと明るく楽しいものとなったのに。
喜怒哀楽が激しい信長を前半に映すからこそ、後半の魔王に足をつかまれた信長が映えるのにさ。
そしてこれは賛否両論かもしれないけど、本能寺の床の下から抜け出しました→船に乗り航海しました→海の向こうの地を見ました
この場面いる?
途中でタイタニックに入れ変わったかと思いましたよ。
やったとしてもあんなに尺いらないだろ。
そんなにその場面入れたければ、そこからの信長ストーリーにしたらよかったんじゃないかな? まぁ、脚本の善し悪しがはっきりでてしまうのでやらないでしょうけど。
とまぁ、今回も木村拓哉ディスリになってしまいましたけど、本来この映画が★5だとして木村拓哉の演技に★2を奪われて「★3」になったと思ってくだされ。
★2でも甘いよな。
でも映画にはリスペクトするところもあったので、それくらいで。
【なぜ早くもアマプラ? (-。-)y-゜゜゜】
さて、なぜ早くもアマプラで配信したかを考察します。
コロナ渦で海外の新作映画が劇場公開できずにAmazonに権利を売り、配信上映をしていたのは記憶に新しいところですよね。
そのおかげで劇場公開できなかったマイナス収益の補填をすることができた(できたのかな? )
この映画も同じようなものだと思う。
なんせ公開第一週目は1位だったものの二週目からはアニメ映画に追い抜かれてしまい、木村拓哉ファンが一巡してしまうと途端に客入りが悪くなり、結局のところ20億円の製作費で25億円の興行成績しか残せなかった。
あれだけ宣伝に莫大な巨費を投じたにも関わらず差し引き5億円の儲けって、あきらかに失敗だった。
つまりは鮮度が落ちないうちにAmazon primeに配信放映権を売り飛ばしてその補填に充てたのでしょうね。
東映側からなのかAmazonからなのかわかりませんがこれはwinwinだったのでしょうかね?(う~ん、微妙)
【あなたは気が付いた? ( *´艸`)】
あと、これは小ネタですが、信長が鹿狩りをしていて崖から落ちる場面、私はすぐにわかってしまいました。
あの場所は西伊豆の黄金崎公園の展望です。
ほら、馬の頭のような岩が見えますよね。
あれは「馬ロック」と呼ばれています(下は私が撮影した写真です)
この場所から見える夕陽がとっても綺麗なので是非訪れてみてください。