15時17分、パリ行き
★★★☆☆
監督 クリントイーストウッド
脚本 ドロシー・プライスカル
配給 ワーナー・ブラザース
上映時間 94分
原作 ジェフリー・E・スターン、スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス
『The 15:17 to Paris: The True Story of a Terrorist, a Train, and Three American Soldiers』
―はじめに―
私としては、この映画は伝記映画だと言うことを踏まえたうえで、情報なしで観ることをお勧めします。 観る気がある人は、このブログを観終わった後に読んでください。
****
こんにちは、しんじです。
今回は名俳優で名監督でもあるクリント・イーストウッドが2018年に制作したアメリカの伝記映画です。
私はこの映画の前情報は一切知りませんでした。
ただアマプラにあったのでクリックしてみるとイーストウッド監督ということで、鑑賞することにしました。
この映画は少し特殊ですので、今回は感想だけを述べたいと思います。
〇感想
先にも述べたように私はこの映画の前情報を一切持たず、イーストウッド監督という確固たる信用の下に映画を観始めるわけです。
そうそう、伝記映画だということも知りませんでした。
冒頭に列車内におけるテロ事件の場面から始まり、そこに関わるスペンサー、アンソニー、アレクの3人組が登場。
そしてその中のひとり黒人のアンソニーの語りで彼らの小学生時代が描かれていきます。
それぞれ問題を抱える3人が青年になりそれぞれの道を歩む。
大人になっても友人である3人はヨーロッパ旅行に行く。
そんな少年記と旅行記が映画の8割描かれていきます。
そして運命の15時17分発のパリ行きに乗るわけです。
アメリカに生まれ、友との出会い、多くの選択肢の中でこの人生を歩み、最後に友とパリに行くかどうかを話し合い、パリに行くことを決める。
『彼らはテロリストの犯行を未然に防ぎ、フランスから勲章をもらい、アメリカ発の英雄となった!』
驚くことなかれ! この映画、実は今の一文だけの映画なのです。
しかし映画全編で描かれるのは、『この列車に乗り合わせることなど天文学的な確率の上で成り立つものだ』ということ。
アメリカに生まれ、友と過ごし、それぞれの道を歩み、ヨーロッパに旅行に行く、現地では計画の練り直しもしながら、パリ行きを決定する。
これは彼らの『運命』だったという人もいるだろう。
これは長い上映時間をかけてそういう事を描いている映画です。
この映画、はっきり言って、鑑賞者がどのよう状況で観ているかで評価が変わります。
私は暇を持て余しているときに何と無しに観ていたので、3人の旅行記を観ている気分で「ああ、これはそんな映画なのだな」と割り切って観ました。
しかし、映画館で料金払ってみた人は、料金分の価値があったかというと微妙です。
それとサスペンスを期待した人はその肩透かしに呆然とするでしょう。
これはそんな映画です。
正直、クリント・イーストウッド監督という保証がなければ、日本で上映されていたかも疑問です。
しかし、それでも評価すべきところは、この映画が退屈しなかったところです。
私だっていくら暇でも面白くない映画なら違う映画に切り替えます。
この映画の評価すべきところは、その何気ない3人の少年記から旅行記までをテンポよく面白く描いているところです。
それはたまたまなのか、イーストウッド監督のなせる業なのかはわからないけど、私は最後に「これだけを描きたかったのか!」とびっくりしたのと同時に感心させられました。
あまりストーリーがないような映画ですが、ストーリーがあってもクソつまらない映画って星の数ほどありますよね。
そうならないのが凄いです。
そしてもっと驚いてしまったのが、この主人公のスペンサー、アンソニー、アレクが実はこの実話の本人だったってこと。
しっかり演技指導していたのでしょうね。
スペンサーにおいては一番露出が多かったためか、少々あか抜けない部分はあったけど、アンソニーやアレクは味のある顔をしているし、3人は俳優さんかと思っていました。
これが一番の驚きだったかもしれません。
しかし、この映画を作った意図を私は知りませんが、これは完全に個人的な考えですが、クリント・イーストウッドは『アメリカはこうでありたい』という確固たるものが心にあるような気がする。
それは『アメリカは世界の英雄でありたい』という思い。
イーストウッドはそういう思考にありながらも「グラン・トリノ」で描かれているようにそうでは無くなった悲哀やそれでも時代を受け入れていかなければならないという現実を見つめる事の大切さも描きますよね。
私としては、この映画は伝記映画だと言うことを踏まえたうえで、情報なしで観ることをお勧めします。
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