リング★★★★★ |
The Ring★★★★☆彡 |
こんにちは、しんじです
今日は僕がもっとも恐怖した映画、「リング」とハリウッド版「The Ring」を照らし合わせながら感想や考察などを書こうと思います。
いつもより少し長文のレビューになると思いますので秋の夜長にでもお読みください。
恐怖した日曜日~1998~
この「リング」という映画には特別の思い入れがありますので、まずは出会いをお話ししようと思います。
この「リング」は公開当時、千葉の映画館で観たのですが、当時僕は1日2本、3本と映画のはしごをしていました。
その日も実はお目当ての映画は違う映画、上映時間が合わないので、次の上映時間まで暇つぶしに観た映画が「リング」
当然、原作を読んだわけでもないし、前情報も全然知らずに観賞した映画です。
そして恐怖の95分間が過ぎていったのです😱
上映が終わり館内が徐々に明るくなるとき、場内がざわつきます。
ゾワゾワ、ザワザワといった感じです。
それはまるで「えらい(とんでもない)映画を観てしまった」というざわめきです。
僕はそれなりに多くの映画を観てきましたが、館内がこんな空気になった映画は初めてでした
それぐらいこの映画の衝撃はすさまじかったです。
僕も映画を観て、しばらくはテレビの砂嵐が気持ち悪く、あの「キィ~・・・キィ~・・・」という音が頭から離れなかったです。
そう、映画を通して「呪いのビデオ📼」を見せられた気分になったのです。
まぁ、7日間生き延びて現在に至るわけですが
あらすじ
まぁ、この「リング」もう何回もテレビ放映もされていますので、あらすじを言うまでもないでしょう。
親戚の娘の不可解な事件をきっかけに、「呪いのビデオ」を観てしまった記者が生き延びるために、その不可解な「呪いのビデオ」を調べる。
元夫は巻き込まれ、自分の子供もビデオを見てしまった(見せられた)。
否応がなく呪いを解き明かす方法を見つけなくてはいけなくなってしまう。
タイムリミットの7日間に追い詰められていく主人公。
呪いのビデオに秘められた恐ろしく忌まわしい過去の出来事を調べ、呪いを解く方法を見つけ出す主人公。
だがそれは本当に呪いを解くものだったのだろうか??
この主要なストーリーは日本版もハリウッド版も全く同じです。
日本版「リング」の凄いところ
「リング」といえば「貞子」以外は考えられない。
確かにそうですね。
でも、この映画の凄いところは日本の怪談を意識しているところです。
もう一回映画を観てみてください。
映像の中にどれくらい「畳」がでてくるのかを。
智ちゃんの部屋、竜司さんの部屋、山村壮の部屋、そしてラストの竜司さんお部屋での貞子が指を掻き立てながら這いずる場面。
この畳からでてくる陰湿な雰囲気。
湿った恐怖こそが「リング」の持ち味なのです🧂
ちなみにJホラーの双璧を担う「呪怨」
この映画の最大の特徴は「日本人が身近に思う怖いと思う瞬間」を映像にしているところ。
タイムリミットを示す日付
「〇月〇日〇曜日」
これは日記、ビジネス文書でも「その日を示す」ものですよね。
この映画の冒頭でも「〇月〇日〇曜日」とでてきて、最初はその日を示す日付でした。
だが、話が進んでいくうちにそれが「カウントダウンを示す日付」になっていく恐怖。
この効果は絶大でした
さらに浅川玲子(松嶋菜々子)と高山竜司(真田広之)とのタイムリミットのズレを強調しながらラストシーンに突入する場面でも心をかきむしられる感じさえしました。
音が耳から離れない
映画を観終わった後もそんな感じでした。
「呪いのビデオ」の映像もさることながら、その音が凄まじく不快🥶です。
あれは日本人が不快に思うような音で作られているのではないでしょうか?
「キィ・・・キィ・・・」
遠くでなっているのか近くでなっているのか・・・
そして「しょうもんばかりしていると、ぼうこんがくるぞ」
この言葉を音の中に紛れ込ませ、それをモニター機器で探るときの不快感。
あのゾワゾワ感は、そう「エクソシスト」を思い出させました。
(「エクソシスト」では悪魔に憑依された少女「リーガン」意味不明な言葉を発するのです。
デミアン・カラス神父が部屋で録音テープを聞くのですが、それは言葉を逆に発音したものでした。)
ただの怖がらせ映画ではない
この「リング」がなぜもこうして見応えのある映画になったのか?
それはこの映画が単に怖がらせ映画で終わらなかったところでしょう。
タイムリミットに追い詰められていく主人公がビデオを紐解き、忌まわしい過去を探っていく。
そのサスペンス仕立てがますますこの映画を見応えある面白い映画にしたのだと思います。
この点は双璧「呪怨」と大きく違う特徴で「呪怨」はありったけの恐怖を注ぎ込む映画で「リング」は謎解きの映画といってもいいと思います。
僕は「リング」の方が好みで、その謎解きがうまくいった矢先のどんでん返しの恐怖がツボに入りました。
最大の恐怖の瞬間
「うわっっっ!!ちょ、ちょっとまて!それは反則だろ!!」
映画館でそう思いました。
そうです。
ま、まさか画面から髪がばさり、頭が出てきて手が出てくるとは思わなかった。
あれはすげ~怖かった
今までにない映像表現でしたね。
貞子がTV画面からでてくるなんて想像した人いたでしょうか?
井戸から少しずつ手が見えて、それが進行する感じがもうすでに怖くて、ラストで「あ、あいつ井戸から出てきたで~!」
それだけで不気味だったのに、さらにその上をいくとは思わなかったです、はいっ
この瞬間、今までのホラー映画に大きく差を付けましたね。
Jホラーの金字塔の誕生の瞬間です。
そして「貞子」というキャラクターの登場でもあります。(今はもうすでに悲しい状況ですが・・・)
事後のさらなるザワザワ感
「的中・・・」「的中・・・」
「インチキだ・・・」「博士、あんただまされてるんだよ。」
こんな場面がありましたね。
「山村志津子」
貞子の母親です。
映画公開当時はインターネットというものが普及していなかった時代です。
ネットが普及するといろいろな事柄を調べるのが手軽になりました。
まだ調べていない人。
「山村志津子」を調べてみてください。
僕はこれを調べた後、さらなるザワザワ感がありました。
「まさか本当の話だったとは!」ってね。
しかし、よく実話を絡めて映画を作ることができたと思う。
抗議とかなかったのでしょうか?
まだ今みたいに世間がうるさくなかったから出来たのかもしれませんね。
「だれも気付かないだろう・・・」みたいな。
でもそれがさらなる怖さを生み出すとはすばらしいですね
ハリウッド版「The Ring」の凄いところ
何といってもハリウッド版の素晴らしいところは、日本版「リング」をリスペクトしているところです。
世界映画市場の中心で作られ「ハリウッド版」と言われる映画が日本映画をリスペクトするなんて素晴らしいですよね。
まずはそんな「The Ring」に敬意を表します
つまりはストーリーだけではなく、
映画の導入部分の女子高生友達の会話から始まるところ。
主人公レイチェルが記者であるところ。
親戚の娘の葬式でキッチンを会話の場所とするところ。
葬式に参列した女子高生から情報を得るところ
この辺の導入部分の細かい部分の共通点の多さには映画館でびっくりしました。
ゆえに僕は素直に「The Ring」を受け入れることができました。
そしてハリウッド版の優れているところはストーリーへの誘いでしょう。
とにかく女子高生の会話からの展開がスムーズである。
その点、日本版は「下手だなぁ」とさえ思ってしまう
「早く話を進めてくれよ。」ってことを思わせないところはさすが洗練されていると思いました。
ここは好みがわかれるところ
さっきも書いた通り映画界が洗練されているがためか、記者レイチェルの取材、調査が本格的なんです。
冒頭こそホラー要素満載でしたが、ビデオを調査する本題にはいっていくと本格的な推理・サスペンス映画になっていきます。
世界観が「Xファイル👽」みたいな乗りです。
こういう感じでリアルな感じが好きな人には評価がいいかもしれませんね。
日本版ではこの異世界なビデオを調べるのに「異能の力」をもつ高山竜司に頼ります。
浅川玲子は元夫の高山竜司に依存し、心を取り乱しては高山竜司に叱咤されます。
調査もしますが、多くは竜司の「異能の力」によるところから過去を探り当てる展開になります。
僕はこのホラー映画、特に貞子が特別な力を持つ前提上では日本版の「異能」というものによる鬩ぎあいがあるほうが面白かったですね。
結果として竜司の力は貞子の足元にも及ばなかったですが・・・
「他にハリウッド版が優れている点はあるかなぁ??」って考えてみたのですがありませんね。
なぜなら、「リング」をもとにして作った映画だからです。
ストーリー同じだし
先も言った通り「洗練」されているところが最大に強みであり、またそれが弱みにもなっています。
これも好みになるかもしれませんが、それは「貞子」と「サマラ」の違いでも言える事でしょう。
「貞子」は「リング」の映画スタッフがみんなでつくった感じがあります。
アナログな感じがするのです。
どうやったらTV映像から現実の世界に出てきたように見えるのか?
どういう体の動きが不気味に感じるのか?
恐怖した人間の顔ってどういうものか?
それをスタッフや俳優さん全てがつくりあげて「貞子」が誕生した感じです
ハリウッド版はバリバリにCGを使いながら人間の心の隙をついてびっくりさせ、恐怖を与える。
もちろん映像もきれいだ。
だが、それが仇となっているのか、質的な恐怖がない。
「映像」を作り上げた感がすごくでてしまっている。
ハリウッド版は「YOUTUBEの『日本映画「リング」をハリウッド版にしたらこうなった。』」
こう評価する人もいるかもしれないほど「映像」が綺麗にできています。
それを良いと思えるか、悪いと思えるか、で評価が分かれるのかもしれません。
僕はその映像を素直に楽しめたのでDVDももっています
あとこれは映像処理能力?フィルムの違い?何かわからないけど日本版「リング」って映画全般の映像が粗い感じがします。
この粗い感じが僕は凄く好きで、今の日本のドラマにも言えるけど映像が綺麗すぎると、なぜか逆に生活臭というか今自分がいる世界の延長上でドラマ、映画がある感じがして、現実的でない世界に入り込めない部分があります。
これは僕個人的な好みですね
ここからは比較による個人的な好み・見解
「呪いのビデオ」
この映像に関しては日本版のほうが好きです。
日本版は
リング・鏡・動く文字・いざる人・布を被った男・目・井戸
この映像がとても抽象的であり、また目に「貞」とわざわざ印つけるほど自分に結び付けるパンくず🍞を落としています。
そこに「キィ・・・キィ・・・」やら「しょうもんばかりしているとぼうこんがくるぞ」で不気味さが増大です
ハリウッド版はやたら映像が多いです。
リング・血の混ざる水・椅子・鏡・窓にいる男・海辺と蠅・口から??・燃える木・釘と指・蛆・いざる人・ムカデ・足を引きずる犬・馬の目・切断された指・はしご・海辺にあげられた馬の死体・身投げする女性・井戸
多いな~
ちょっと多すぎです
そしてこの映像は直接サマラが見たものや主人公が見るであろう映像が含まれています。
この映像が直接調査の対象になるから仕方がありませんね。
その分、不気味さは半減しています。
ただの物の映像なので。
マスメディアの扱い
日本版は完全にマスメディアをディスってます。
今も昔もマスコミがやることは同じだ。
「もちあげては落とす」
竜司さんが言っています。
ハリウッド版は原作鈴木光司の「リング」の核をマスコミに当てはめてます。
原作では貞子が作り上げたビデオ映像には特殊なDNAをつくりあげる効果があり、ビデオを見た人はリングウィルス侵されるのです。
「マスメディアやテレビは不幸や苦しみをウィルスのように拡散する。」
こんな台詞が映画内にありました。
これは脚本家か監督がしっかり原作を読んでいるのでしょうね。
そしてこのセリフによって原作をリスペクトしています。
「高山竜司」と「ノア」
高山竜司の勝ち
元夫という立場の他、「異能の力」をもつことにより浅川玲子に頼られる高山竜司。
ところどころで貞子が接触をしてくる。
またこの世のものではない者の気配を察知することも可能。
この世に擦れた考えを持つがそれは「異能の力」により世の中の見たくないものまで見えてしまったものの定めかもしれない。
ノアの負け
元夫という立場の他、映像業界で働くプロの目から「呪いのビデオ」を判定してくれと頼まれる。
ビデオの異常性には気が付くが、呪いが自分の身に降りかかるまでは信じようとしない。
基本的に楽観的、悪く言うと軽薄な性格。
主人公のレイチェルが記者として自立している性格なのでほとんど頼られる場面がない。
これはアメリカと日本は社会で活躍する女性像に大きな違いがあるためかもしれませんね。
「貞子」と「サマラ」
顔を見せない「貞子」の勝ち。
やはり恐怖の対象って「いったい何なの?」というように隠された部分が多い方が怖い。
部屋の片隅の暗い部分に何かいるようで怖いのはそういう心理。
その点でかわいい顔をさらしてしまった「サマラ」の怖さは半減してしまっています。
ラストカット
これは完全に日本版が圧勝ですね。
ビデオとデッキを積んで走っていく車の上に、この世の行く末を暗示するように黒い雲が覆っていく。
このラストカットは凄く気に入っています
ハリウッド版は「呪いのビデオ」の数カットを早く描写して終わり。
これは全くつまらないラストカットですね。
なんでB級ホラー映画のようなお粗末なラストカットにしたのか、作品がよかっただけに残念でしたね。
こう比較すると、なんかハリウッド版に良いこと書いていないようですが、いえいえハリウッド版「The Ring」は良いですからね
日本版「リング」に思い入れがあるのと、実際、それだけ素晴らしいホラー映画だったからです
この後の末路
このあと「貞子」を最低なキャラクターになり下げてしまい、自ら「リング」を貶めてしまった日本の映画界はダメだなと思いました。
何でこんなにダメなのかな。
「最悪だよ!」
この一言に尽きる。
「リング」のあとには原作とおりに「らせん」が作られます。
これは「リング」の正当続編ですが、小説と同じように話が「ホラー」から「SF」へと転換していきます。
そこで人間の業(カルマ)を掘り下げていくわけです。
当然、「リング」のような恐怖を期待した人には「??」な作品で、不評に終わったのは言うまでもありません
でも実は僕はこの「らせん」はそれなりに面白い映画だと思っています。
それなりに深い作品ですよ🤔
ホラー作品とは切り離して一度見てくださいね。
「らせん」の不評から別の続編を作ったアホ日本映画界
それが「リング2」です。
もうこの時にすでに「貞子」在りきの映画になってしまいました。
どうでもいい作品です
「リング0」
この映画は「らせん」同様に原作から作り上げた映画。
(「バースデイ」だったかな?)
この映画は良いです!
ホラー映画「リング」の続編を見たい人は「リング0」を観るといいですよ。
話のつながりもありますから。
「インチキだ!」といって貞子に殺された記者。
この人に関係したお話にもなっています。
そのあとは見る価値なしの量産型「貞子」映画。
鼻くそ映画です
ハリウッドはそのあと「The Ring2」をつくりました。
レイチェルと息子エイダンの呪いから逃避行。
THE RING2
まぁ、「リング」という支柱があっての「The Ring」でしたので、言わずもがなです。
興味があったら観てもいいかと・・・
「ザ・リング/リバース」に関してはレビューを書いてますので、そちらをどうぞ。
「浅川玲子」と「レイチェル」
松島奈々子ちゃんがいい
ナオミ・ワッツは「ドリームハウス」の時の方が綺麗。
小ネタ
この映画冒頭で最初に貞子の被害者となるのがこの女の子。
まだ少女だったころの「竹内結子」さんです。
かわいいですね。
でも、これはまぁ有名かな。
あともう一つ
新聞社で浅川玲子(松嶋菜々子)と事件について談話する男性このひとは若き日の「重松豊」さんです。
今や「孤高のグルメseason8」も始まり人気俳優さんのひとりになりましたね。
先日気づきました
おまけ
そうそう、導入部分の女子高生「ケイティ」(アンバー・タンブリン)は「呪怨パンデミック」のオーブリー役でもでていましたね。
あまり興味ないのでそれだけですが
まとめ的なもの
1998年はまだまだ日本のエンターテイメントの世界認知度は低いものだったと思う。
今はもう言われていないかもしれないが80年代、90年代とも日本のバンドなど含めたエンターテイメントは英語でないかぎり成功することはないと言われていた。
この「リング」という優れた映画も日本国内でのみ上映され、英語圏内の国々には「The Ring」が上映されている。
これはとてももったいないことだ。
数年前にLoudnessのボーカル二井原実さんが面白いこと言っていた。
「Loudnessはアメリカ市場のため英語歌詞を用意して歌っていた。昔から日本のバンドが成功するためには英語の歌詞で発音もちゃんとして歌わなければ成功しないと言われていた。だが、メディアが発達して英語圏の人が日本のバンドを好きになる。そのファン相手に英語で歌うと「オリジナルの日本語で歌ってほしい。」と言われる。」
そう、今まさにそういう時代。
Youtubeで日本アニメの海外での反応を観るとみんな字幕でみている。さらに「日本アニメの声優さんが素晴らしい。」と評価しているのだ。
これからは優れた映画を日本は英語字幕を付けて積極的に英語圏へ市場を広げるべきだと思う。
そうすればこの「リング」も世界的なヒットになっていたに違いないと思う。
そんな感じで日本版「リング」ハリウッド「The Ring」について書いてみました。
両方ともお勧めですので、ぜひ観てくださいね
ではでは、
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