グリーンブック
★★★★★プラス★☆彡
監督 ピーター・ファレリー
脚本 ニック・ヴァレロンガ
配給 ギャガ
上映時間 130分
こんにちは、しんじです。
今回は「グリーンブック」の感想を書きます。
この映画は第91回アカデミー賞で作品賞・助演男優賞・脚本賞を受賞した作品です。
主演はヴィゴ・モーテンセン、そして今やアカデミー賞俳優の仲間入りしたマハーシャラ・アリです。
映画の内容は黒人ピアニストが南部のツアーで腕っぷしが強い白人ドライバーを雇うという内容ということは知っていました。
当然、黒人と南部ということで差別問題がテーマであろうことは見当付きました。
映画館の予告を観たときからいつか観てみたいと思っていました。
今回はAmazonプライム動画での鑑賞になります。
※アフリカ系アメリカ人を作品に合わせて黒人と表現しておりますが、どうぞご了承ください。
あらすじ | 感想 |
〇あらすじ
1962年、アメリカ。
トニー・ヴァレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)は勤務先のナイトクラブが改装工事のため仕事がなくなってしまう。
妻と2人の子供がいるトニーは何とかお金の工面をする。
ある日、仲間内から運転手の仕事を紹介される。
雇い主はドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)と呼ばれている男だ。
てっきり医者かと思っていたトニーの目の前に現れたのは黒人の男性だった。
ホワイトハウスで演奏をするほど実績のあるピアニストシャーリーはアメリカ南部のツアーを行うことになっていた。
そこで演奏付きナイトクラブで働いた経験と豪胆で腕っぷしが強いトニーをドライバーとして雇い入れたかったのである。
「俺は召使いなど御免だ。」
鞄運びや靴磨きはしないこと、給金の値上げなどの条件をもとにトニーはドライバーの仕事を引き受ける。
貧民街育ちのイタリア系のトニーは粗暴で言葉が汚い。
品よく堅物なシャーリーと合うわけがない。
車内ではどうでもよい小さなことでぶつかり合うこともあった。
正直、トニーは口うるさいシャーリーを疎ましく思っていた。
最初の演奏会場に到着しシャーリー率いるバンドの演奏が始まるとトニーに衝撃が走った。
会場の人々に感動を与えるシャーリーの演奏に自分まで誇らしい気持ちになった。
次の会場に着くと、トニーは言いつけ通りにピアノのチェックから始めた。
見ると弦の上がゴミだらけの古びたピアノだった。
「おい、シャーリーの弾くピアノはこれじゃない。」
「ああ?黒人だろ?黒人はそのピアノで十分だ。」
「まだ時間はある。すぐにピアノを用意しろ。」
「うるせぇ、イタ公!」
すかさずトニーの平手打ちとともにスタインウェイ製のピアノが用意された。
シャーリーの小言は相変わらずだが、そこには前とは違ったものが存在していた。
それは尊敬であった。
決してトニーはそれを表さなかったがシャーリーの運転手をしている事を心のどこかで誇らしく感じるようになっていく。
長期のツアーにトニーは妻ドロレスへ手紙を書いていた。
粗暴なトニーの手紙は脱字だらけ、機知に富む分なども書けるはずもなかった。
見かねたシャーリーが手紙の文章を授けると、それを読む妻ドロリスはトニーの手紙に感動の涙を流していた。
ツアーはケンタッキーからさらに南部へと入っていく。
南部へ行けば行くほどステージ上とステージを降りた後のシャーリーへの待遇に開きが出てくる。
ホテルは黒人専用のモーテルを用意され、トイレは野外の黒人用トイレ、控室は物置などが用意されることもあった。
そんな待遇にトニーの心は大きく動揺していた。
だがシャーリーは毅然とした態度をとる。
それは何かに負けまいとするかのようだった。
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あらすじ | 感想 |
この映画は実話をもとに作られた映画らしいです。
脚本のニック・ヴァレロンガの父がトニー・ヴァレロンガその人だったということです。
ちなみにニック・ヴァレロンガはカメオ出演しています。
やはりこの映画での注目は黒人を蔑んでいたトニーの心の変わりようでしょう。
このトニー・ヴァレロンガという男は粗暴なイタリア系ではあるが決して差別主義者ではありません。
1960年代に一般的に行われている黒人への差別をする男です。
このことがこの映画一番の肝となっているのです。
それはこの言葉に込められています。
南部のバーにひとりで行ったシャーリーがリンチに会う。
憤りを見せるトニーにシャーリーが言います。
「これは南部だからってことじゃない。君の近所のバーに入っても同じことが起こった。」
差別の大小の問題ではなく、それが日常に紛れていることが問題なのだと訴えているように感じました。
◎好きな場面4選
① トニーがシャーリーに対して得意げに観客を見る場面
最初の演奏会でシャーリーの演奏に対して尊敬の念を持ったトニー。
「ほらほら、すげーだろ」とばかりに得意げに観客を見下ろすトニーがかわいい。
② ケンタッキーフライドチキンの骨をどうする?
どこか人生を楽しんでいないシャーリーにちょっとした人生の楽しみ方を教えるトニー。
「食べ終わった骨はどうする?」と聞くシャーリーに
「こうするのさ!」といって窓を全開にして外に投げ捨てるトニー。
この場面のシャーリーの楽しそうな顔いい。
でもその後、調子に乗って投げ捨てた紙コップを拾わせるのがまた良いのだ。
③ トニーが素直にシャーリーに賛辞を贈る場面。
本当にやりたかったのはクラシックだったと打ち明けるシャーリー。
トニーが言います。
「クラシックは誰でも演奏する。あんたの音楽はあんただけのものだ。」
これはトニーからの最大の賛辞だった。
その気持ちにシャーリーも喜ぶ。
「だが私が演奏したショパンは私だけのものだ。」
最後に言い残した言葉を理解したときのトニーの表情がまた最高です!
④ シャーリーが訪ねてきた場面
このシャーリーがドアに立っている場面が凄く感動した。
トニーのアドバイス通りに寂しい時は・・・
そして初めて会ったシャーリーの耳元ドロレスがささやきます。
これが何とも憎らしいじゃないですか。
この映画はイタリア系の香りがところどころ漂ってきます。
とくにトニーが警察を買収する場面などマフィア映画でよく見かけるセリフ回しです。
なんかすごくおっかないですよね。
遠まわしで脅迫しているようです。
たぶん僕の中で「ゴッドファーザー」のこの場面が頭の中に残っているからだと思います。

今回、僕が気に入っているヴィゴ・モーテンセンがトニー役を体型まで変えて見事に演じましたね。
でも、いつもの体型でも全然よかったと思うんだけどなぁ。
ヴィゴ・モーテンセンにはいつまでもかっこよくあってほしい。
この映画は今の世の中を反映している映画の一つですね。
こういうとらえ方するとちょっとしらけるんですけど、人種差別問題とLGBTについて取り上げた映画でしたね。
こういう問題はどう表現しても誰もが満足できるものにはならないのだと思う。
アメリカでは白人が救済役になっていることに不満を持つ人もいたらしいですよ。
でも、それらの問題と切り離したひとつの映画として観ることをお勧めします。
とても素晴らしい映画ですから!
僕はDVD欲しくなりましたもん。
アカデミー賞の名に恥じぬ素晴らしい映画だと思いました。
物凄く感動するというよりも凄く良い場面がいっぱいある映画だと思いました。
超・お勧め映画ですよ。
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