英雄の条件
★★★★☆
監督 ウィリアム・フリードキン
脚本 スティーヴン・ギャガン
配給 ギャガ/ヒューマックス
DVD ギャガ
上映時間 127分
こんにちは、しんじです。
今回はサミュエル・L・ジャクソン、トミー・リー・ジョーンズ主演の法廷映画「英雄の条件」の感想を書きます。
今回の法廷は軍事法廷です。
騒擾の場において軍が応戦する領域をテーマにしている映画となっています。
そういう意味で邦題の「英雄の条件」よりも原題「Rules of Engagement」が適していますね。
あらすじ | 感想 |
ホッジス大佐(トミー・リー・ジョーンズ)はアメリカ軍を名誉ある退役を果たした。
だが彼の心にはどこか晴れやかになれないものがあった。
それは1968年のベトナム戦争で右足を負傷し帰還したあとは事務方の仕事しかできなかったこと。
そして・・・。
一方、ベトナム戦でホッジス大佐を助けたチルダーズ大佐(サミュエル・L・ジャクソン)は帰還後もあらゆる戦線で軍の指揮をとっていた。
チルダーズ大佐の新たな任務はイエメンにいるモーリン大使(ベン・キングスレー)の救出作戦だった。
大使館前にはアメリカに対する民衆デモが行われていたが、デモはますます過激になっていくばかりだ。
そしてデモに乗じて過激派が周りの建物から銃撃をしてきたのだ。
チルダーズ大佐率いるチームが現場に着くと銃撃はますます激しくなっていく。
デモに参加する民衆からは怒号と投石、周辺の建物からスナイパーの銃撃。
何とかモーリン大使と家族を救出に成功する。
モーリン大使がヘリで飛び立ち、あとはその場から引き上げるだけだった。
だが銃撃戦の中、隊員が次々と倒れていく。
次第に身動きが取れなくなっていく。
横にいた軍曹が、今、撃ち抜かれて死んだ。
その時、チルダーズ大佐が命令を出す。
「群衆へ向けて発砲しろ!」
「民衆に向けて発砲はできません。女、子供もいます!」
「撃て!悪党どもを殺せ!」
軍の機関銃がデモに向けられ、次々と民衆が血まみれになって倒れていく。
老人も女も子供まで・・・
アメリカ大統領補佐官のソーカルはこの事件によりアメリカ国が糾弾されることを心配する。
そして難しい中東問題、各国に反アメリカデモやテロが起き、外交までもこじれてしまうことを懸念する。
ソーカル補佐官は画策する。
そう、これはアメリカ国の責任か、それとも指揮官の責任なのか。
指揮官の越権行為による虐殺として軍で裁けば、アメリカ国としての責任はない。
ソーカル補佐官命令のもとビッグス少佐(ガイ・ピアース)が検事となる。
一方、チルダーズ大佐は自分の弁護を退役したホッジス大佐に頼むのだった。
女、子供見境なく虐殺した事実。
ただあるのはというチルダーズの証言のみ。
「ただのデモではない。民衆が銃撃してきた。」
イエメンに調査にいくホッジスだったが、大使館は荒らされ証拠となるものはなかった。
ホッジスが見たものといえば、銃撃で重傷を負った民衆の姿だけだった。
「民衆が銃撃してきた。」
チルダーズの証言を証明するには大使館の監視ビデオが必要だ。
だが、証拠品として国務省へ送られたビデオはすでに隠滅されていた。
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あらすじ | 感想 |
法廷映画としてはなかなかのスリルがありました。
提出する決定的な証拠がないホッジスは当時の現状や戦線での経験から陪審員に訴えるしか方法がない。
一方、ビッグス少佐は着々と用意した証言者と軍法にのっとった理詰めのチェスを打ってくる。
そしてチルダーズから不利な発言をさせる揺さぶりなども周到だ。
このビッグス少佐の抜け目ない役どころをガイ・ピアースが好演しています。
この切り崩しをどのようにホッジスがやり遂げるのか。
法廷映画の醍醐味を味わえる映画です。
ところで、この映画、イエメンにおけるイスラム原理主義のアメリカへ対する思想が描かれています。
ご丁寧にテープを流して思想を説明します。
大使館の銃撃場面では、女・子供を盾とした銃撃犯の場面も映されています。
この辺はアメリカお決まりのプロバガンダと言われても仕方がないものだと思います。
ただ、映画の内容はアメリカの隠匿体質に触れ、極限状態の軍が女、子供も関係なく銃撃する陰惨たる場面も映しだされています。
これはどちらかというとアメリカ批判です。
そしてそれらが軍法に違反していなければ無罪になるということも皮肉めいて描いているとも言えます。
鑑賞者の政治的信念によって捉え方が様々になる映画だと思います。
映画製作者側はこの映画をなるべく中立的にしようとしていたではないでしょうか。
この映画は2000年3月に公開された映画です。
翌年2001年9月11日に多発同時テロが起きます。
微妙なタイミングで作られた映画です。
事件前にこの映画を観たアメリカ人と事件後にこの映画を観たアメリカ人の意見は相当違うものになっているでしょうね。
法廷映画としては面白い映画でした。
政治的なものは置いて、エンターテイメントとして観るといいでしょう。
今回の僕の★は完全にそういう評価ですよ。
あらすじ | 感想 |
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