アメイジング・グレイス
★★★★☆彡
監督 マイケル・アプテッド
配給 プレシディオ
DVD Happinet
上映時間 118分
こんにちは、しんじです。
今回はイギリスの奴隷制度に尽力を尽くしたウィリアム・ウィルバーフォースの伝記「アメイジング・グレイス」の感想を書きます。
日本人の僕らは「ウィリアム・ウィルバーフォース」を知らない人多いですよね。
僕もそうです。
だけど「アメイジング・グレイス」はかなりの人が知っていると思う。
有名ですよね。
名前を検索してYoutubeとかで聞いてみてください。
「ああ、知ってる!」ってなりますから。
しかしこの歌を知っていてもこの歌が何なのかを知らない人がこれまた多いですよね。
僕もそうでした。
この歌は、奴隷船の船長が、自分の罪深さを悔いて聖職者となり、その行いを悔いながらも神はそんな自分にも救いをくださった。という歌です。
その旋律はとても美しく、この曲が流れると聞き入ってしまいます。
あらすじ | 感想 |
時は17世紀から18世紀に変わろうとしていたイギリス。
ここにウィリアム・ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)という若き政治家がいた。
彼の若さみなぎる演説はだれもが耳を傾ける。
そんな弁の立つ男だった。
彼が議会で高らかに声を上げるのは「奴隷制度の廃止」だった。
だが、当然のごとく彼の意見は大多数の奴隷賛成派の前に嘲笑の的となっていた。
不屈の彼も「全ては変わらぬままなのだ。私の心が先に変わってしまう。」と心が揺れていた。
学生時代からの知己の友ウイリアム・ピット(ベネディクト・カンバーバッチ)は彼の家を訪れる。
「私は首相になる。すぐにだ。私の右腕になれ。そして今こそ動かすのだ。」
ピットはウィルバーフォースのもとへ力になる仲間を送り込んだ。
トマス・クラークソン(ルーファス・シーウェル)、オラウダ・エクィアノ(ユッスー・ンドゥール)の面々だ。
彼は仲間とともに動かぬ議会を世論から動かす計画を始める。
トマスは奴隷商人の証言や実態の証拠集めに奔走し、黒人で元奴隷だったエクィアノは自伝を本に著し、ベストセラーとした。
彼らの地道な活動は39万人もの「奴隷制度反対」の署名を集め、議会に提出した。
だが、票の取り合いは将棋のようなもの、自分の部下が相手の駒になることもある。
彼らの努力は水泡と帰した。
失意のウィルバーフォースのもとにトマスが言う。
「アメリカ、フランスでは革命が起きている。」
「トマス、2度と私の前で革命と口にするな。」
トマスはウィルバーフォースを一目見ると静かに姿を消していった。
やがてフランスとの植民地をめぐる戦争が激化する中、ウィルバーフォースの「奴隷制度反対」の狼煙は完全に鎮火されてしまった。
時は15年も流れウィルバーフォースの持病は悪化し、よもや声を上げることさえ無くなってしまった。
彼は後悔の念と心の奥でわずかに燻る火に心身とも蝕まれていた。
彼の前に現れたひとりの女性バーバラ・スプーナーは言うのだった。
「苦しいのなら、飲み込まずに吐き出してしまえばいい。」
彼は心にしまい込もうとしていた全ての想いを、言葉として掃き出した。
そして彼は戦友トマス・クラークソンをはじめかつての仲間を集める。
再び仲間が集った時、弁護士ジェームズ・スティーブン(スティーヴン・キャンベル・ムーア)が思いもよらぬ名案を口にする。
あらすじ | 感想 |
熱いです
とにかく熱い物語ですね。
こういう熱い話は大好きです💛
まずは少し時代背景を説明しましょう。
時は1797年です。
このころ日本はまだ江戸時代で11代将軍徳川家斉です。12代将軍徳川慶喜のときに開国するので江戸時代の末期といっていいでしょうね。
そして欧州はアジア、特に東南アジアを植民地とし、欧州の各国で植民地の奪い合い戦争を繰り広げていました。
その植民地の取り合いのひとつとして日本にも多くの欧州人が宣教を掲げながら入り込んでいたのですね。
さて、植民地の奪い合いで争っていた代表が英・仏です。
「百年戦争」など物騒な名前までついています。
そんな最中の「奴隷制度廃止法案」です。
それは議会では受け入れがたいに決まっています。
映画の中で議員がこう言います。
「われわれが奴隷制度を廃止しても、その植民地をフランスがとるだけだ。」
欧州各国が植民地を持ち、そこで奴隷を働かせているのだから、イギリスが撤退しても奴隷制度自体はなくならないということです。
そう考えるだけで詰んでいますよね・・・
それでも彼は自国から無くすことに尽力をつくします。
映画の中では描かれていませんが、戦争するくらいに植民地・奴隷というものを重要としているイギリスの政財界、おそらく彼には命を危ぶまれるような危機もあったに違いないでしょう☠
決して変わらないような世の中を手段択ばず変えたいと願うのがトマス・クラークソンです。
トマスはウィルバーフォースに諫められます。
ラストでエクィアノの墓の前で酒を酌み交わすのが、武将のようですね。
この印象深いトマスを演じたのはルーファス・シーウェルさんです。
どことなくローリー寺西に似ているとかいったら怒られるでしょうか
主人公のウィルバーフォースも熱いのですが、知己の友ピットもかなり熱い男ですよね。
彼はウィルバーフォースがいつかまた立ち上がるのをひたすら待っています。
それは自分の地位を維持する闘いだったことでしょうね。
彼は志半ば死んでしまうわけですが、しっかりと道しるべを残して死んでいくのです。
彼なしでは「奴隷制度廃止」は叶わなかったことでしょうね。
この映画のラストでウィルバーフォースの遺体がピットのとなりに埋葬されることが記されていますが、最後まで熱いですよね。
この映画はイギリスが舞台の映画なので、ひとつひとつ男性の振舞いが紳士に基づいているのが面白いですよね。
日本でいうと武士の立ち居振る舞いが武士らしいのと同様でイギリスの文化を表すこの特徴は、アメリカを舞台とした映画では見ることができない味わいですよね。
どこかフランスなどとも違くて、凛としています。
日本人の僕らは奴隷というと「黒人」をイメージしてしまいますが、実は欧州はアフリカ人を奴隷とするほかに、民族間での奴隷というものが根付いていたようです。
僕も全然知りませんが、恐縮ですが漫画・アニメの「ヴィンランド・サガ」などを観るとその一部を垣間見ることができます。
その根本を覆すような「奴隷制度廃止」は想像を絶する困難なことだったのでしょうね。
その欲深さを逆に利用する作戦を立てた弁護士ジェームズ・スティーブンはかなりの策士ですよね。
このジェームズ・スティーブン役はスティーヴン・キャンベル・ムーアが演じています。
僕はこの俳優さんをかなり気に入っていまして、ジェイソン・ステイサム主演「バンク・ジョブ」にも出演していますので、どうぞお見知りおきを
この映画でもうひとつ特筆しておくことは映像の美しさです。
場面の移り変わりに映し出される風景のひとつひとつに美しさを感じます。
そして人物と背景の位置関係にも凄くこだわりを感じます。
ウィルバーフォースとピットが朝日を浴びながら走り競争する場面も凄く美しくて、「やっぱり映画はこうあってほしいな。」と個人的に思ってしまいました。
中にはセンスが悪いのか全く考えていないのか、そんな監督もいますよね
ちょっと重いテーマの映画でとっつきにくいかもしれませんが、一度見てみてください。
かなり熱い映画らしい映画です。
お勧めです。
豆知識
議会制度の基礎となるイギリス。
この議会の様子から生まれた言葉があります。
それは右翼と左翼です。
議長が真ん中にいます。
この議長から見て右側に位置に座る席が右翼、左側に座る席を左翼といいます。
右側は保守派、左側は変革を求める急進派です。
ウィリアム・ウィルバーフォースは左側ですね。
日本でも「あの議員は右・左」といいますよね。
あらすじ | 感想 |
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Hello.
This is Shinji.
This time I wrote a review of the British movie “Amazing Grace”.
1797, England.
It is a biographical film by William Wilberforce.
He is a person who opposes the British “slave system” and has made every effort to do so.
It is a hot story of him and the fellows who supported him.
Summary of this article
Good point
There are many beautiful scenes.
The story is very spectacular.
Benedict Cumberbatch acting.
Rufus Sewell acting.
Director’s work
Movie screenplay
Bad point
None
I think that the history of “slavly” in Europe has a deep root.
Japanese do not know much about European history.
This movie became my knowledge again.