舟を編む
★★★★☆
原作 「舟を編む」三浦しをん
監督 石井裕也
脚本 渡辺謙作
配給 松竹
DVD 松竹
上映時間 133分
こんにちは、しんじです。
久しぶりのブログになってしまいました。
ここのところアニメにはまっておりまして・・・
特に「たつき監督」の「ケムリクサ」にはまってしまい・・・
さて、今回は松田龍平君主演の「舟を編む」の感想を書きます。
実は、アニメにはまっているこの期間にアニメ版の「舟を編む」もしっかり観ておりました。
順序だてると
実写映画(1年前)→アニメ→実写映画(復習)
あらすじ | 感想 |
玄武書房-辞書編集部
編集者・荒木(小林薫)は定年を迎えようとしていた。
辞書監修を務める松本先生(加藤剛)は今手掛けている新たな辞書「大渡海」の行く末を憂慮していた。
辞書編集38年の荒木ほどの人材はどこを探してもいないと思っていたからだった。
それほど荒木への信頼は深いものだった。
定年後は病床の妻とともに時を過ごそうと考えている荒木。
そこで荒木は自分が抜けた後の「大渡海」を任せられる人選を始める。
荒木は部下の西岡(オダギリジョー)の情報から言語に精通する馬締光也(松田龍平)を知る。
オタクっぽい変人にしか見えない馬締を見て西岡からは「あれはダメでしょう。」という声があがる。
「君、言語学を習っていたんだろ。『右』の定義を説明してくれないか?」
「右・・・えっ・・と・・・西を向いたときに北にあたる方が・・・」
とつぶやく馬締。
馬締光也、辞書編集部へ異動
極端にコミュニケーション能力のない馬締はなかなか他人との意思疎通ができない。
自身がそのことについて深い悩みを抱えていた。
そんな彼の唯一無二の理解者は下宿先・大家の「タケ」さんだった。
「相手の気持ちがわからないって??
あたりまえじゃないか。
だから言葉があるんだよ。
好きな仕事を見つけたんだ。
あとはず~っといくだけだよっ。」
そう言って笑うタケさんに馬締の心は軽くなった。
ある月夜、馬締の友達、野良猫「とらさん」を探しにベランダに出てみる。
そこで月明かりに猫を抱く「香具矢」に出会う。
知らない人物、そして月夜に浮かぶ美女に腰を抜かす馬締。
香具矢はタケの孫娘だった。
それ以来、中学生のように「恋」だの「愛」だのを辞書で引く毎日。
その様子に、編集部一チャラい西岡は気づく。
「好きなひとでもできたのか?」
「はい、実はそうなんです。」
素直に言ってしまう馬締。
ある日、香具矢と馬締は町を散歩がてら遊園地の観覧車に乗る。
彼氏との別離、自分の行く道を悩む香具矢はふとつぶやく。
「やっぱり・・・女で板前って変なのかな?」
「そんなことないです。私は好きです。あなたが作る料理が好きです。」
即答する馬締。
その言葉に香具矢の心は、眼前の景色のように晴れやかになった。
「戦国武将じゃね~んだぞ。」
と西岡に突っ込まれながらも馬締は筆を使った「恋文」を香具矢へ手渡すことを決める。
ある日、玄武書房の方針から「大渡海」のプロジェクト中止の噂を西岡が聞きつける。
「まぁ、時代が時代だからな。」
と半ばあきらめ加減のチャラい西岡だった。
「じ、時代とか関係ないです!僕は大渡海をつくりたいです。」
いつもと違い熱い想いを口にだす馬締に押し黙る西岡だった。
だが、実は西岡の心の奥にも同じ熱い想いはあった。
後輩の馬締の想い、自分の本当の想いのままに局長(鶴見慎吾)へ談判しにいく。
局長は一応の申し入れを聞き入れるが、交換条件として西岡へ宣伝部異動をふっかけてきたのだ。
どうあっても「大渡海」をつくりあげたいとう辞書編集部の想い。
自分自身の熱い想い。
西岡はその条件を飲んだ。
「それが条件だったんだ。おまえは降りれねぇだろ。大丈夫だ、おまえなら。」
そう言って立ち去る西岡の背中を馬締は見つめた。
12年後、香具矢と馬締は一緒に朝食をとる。
いよいよ、「大渡海」も出版へと動き出すのだが・・・
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あらすじ | 感想 |
僕は邦画には結構辛辣なこと言うし、なかなか★をつけることもないのだけど、この映画は迷わず★4つ付けました。
タイトルも何となく古めかしいし、「辞書」なんて地味な題材なのですが、それとは裏腹に凄く面白いし良い映画です
先にも書いた通り実写映画とアニメを交互に観た形になったのですが、ここでひとつわかったことがあります
>『アニメでは出せないもの、実写にだけしか出せないものがある。』
そのことがよくわかる映画です。
それは空気です。
例えば職場の空気です。
この何でもないオフィスの風景。
しかし僕は、あの仕事場独特の、「身がすくむような感覚」に襲われました。
この感覚はなかなかアニメでは感じないものです。
そして編集部のこの手狭な机上風景も実写ならではの空気を出しています。
何よりも用例採集カードが敷き詰められた資料棚からの噎せ返るような紙の匂い。
一枚一枚伝わってくる紙の感触。
これはもう実写映画の強みです。
この映画は編集部の話なのでこの紙の匂いは必須のものです。
これがアニメーションではだせず、映画にのみだせた空気です。
>この空気を感じさせるところがこの映画の素晴らしいところです。
そして辞書という馴染み深い書物を扱う映画なだけにリアリズムを感じます。
今回、この映画において誰よりも素晴らしかったのが「オダギリジョー」でした。
『ああ、いるいる、こういう人』
凄くリアリティありました。
そして、彼はこういう役が凄くうまいです。
もう100点ですよ。
僕が一番好きな場面は西岡が馬締に対して憤る場面です。
飲み会の後、西岡が馬締に話をするのですが、馬締はコミュ障。
そこで西岡が何とも言えない憤った顔をして、
「おまえ、俺を馬鹿にしてんだろ??」
この演技が抜群にうまいですよ。
『ああ、わかる』って思いました。
それとやはりあの場面はよかったですね。
「おまえ、熱いな。」
「どうして西岡さんなんですか?」
「じゃ、おまえは降りれたのか?」
この場面が凄く胸を熱くさせました
オダギリジョーがこんなに良い役者だったなんてと感嘆としました。
馬締の部屋で飲んだ時の場面も凄く良かった。
何か『青春だな』って感じです。
荒木役の小林薫も良かったですね。
内から湧き上がるあの渋い空気。
小林薫は今一番旬ですよね
渋かっこいい!!
昭和の役者さんが持っていたような空気を身にまとっています。
私が大好きな「夏八木勲」さんのようなオーラをまとい始めてます。
ここまではもう満点の★5つの要素です。
ただこの映画主役の「馬締光也」という人物に特色をつけすぎた感じがあります。
これは松田龍平くんが悪いわけではなく、キャラクター設定でやりすぎた感があるのです。
先ほどからべた褒めしている空気感やリアリズムの中で馬締光也だけが、どうしようもなく浮いてしまっているのです。
あそこまでコミュ障にする必要はないのでは??
あまりにも極端にコミュ障の演技を松田龍平にやらせてしまっているため、変わっている人を通り越して半ば「あぶない人」になってしまっているのです。
あれはちょっとね・・・
そこはアニメ版のように不器用なひとくらいにしていた方がよかったです。
それと【12年後】
これは実写映画でもアニメ版でも同じです。
とにかく失速感が半端ないです
それまでは馬締と西岡の間の友情と「大渡海」への熱い想いで最高潮の展開になっていたのに、沸騰したお湯にでっかい氷を落としたような失速感・・・
『あれ?もう終わったのかな?』と思わせるような・・・
一旦そんな風に感じさせてしまったものだから、そこからの大事件がエピローグの一部に感じてしまい気持ちが入らなくなってしまいます
おそらく原作がそのとおりなのでしょうが、ここは実写映画にしてもアニメにしても改変すべきところだったと思います。
12年という年数を一気にまたがせるべきではなかったと思う。
それと12年後のオダギリジョーの髪形はダメじゃん!
あれじゃ、いつものオダギリジョー。
この長髪はないでしょ。
なんであんな風にするかなぁ~
あそこは分け目を付けた髪形とかにすべきだったと思うのだけどなぁ・・
まぁ、そんなマイナス要素はあったとしても、十分に僕の琴線にふれる良い映画でした。
なんか凄く青春を感じさせる映画でした。
何だかんだやっぱりオダギリジョーがよかったんですよね~。
地味なタイトルですが騙されたと思って観てください。
とっても良い邦画でしたよ。
お勧めです
あらすじ | 感想 |
最後にひとつ紹介。
アニメ版「舟を編む」のEDが凄く良い曲です。

Leolaさんの「I&I」
https://www.youtube.com/watch?v=KdA_pxK83T0
Youtubeの公式動画で聞いてみてください。
私はiTunesでダウンロードして聞いています♪
いつもありがとう |
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