The Sunchaser 心の指紋
★★★☆彡☆
監督 マイケル・チミノ
脚本 チャールズ・リーヴィッド
配給 ヘラルド
上映時間 122分
こんにちは、しんじです。
今回はウディ・ハレルソン主演「The Sunchaser 心の指紋」の感想を書きます。
監督はロバート・デ・デニーロとクリストファー・ウォーケンが出演した「ディア・ハンター」を監督したマイケル・チミノです
この映画はエリート医師と犯罪者のロードムービー。
なかなか面白そうなシチュエーションですよね。
僕はロードムービーが結構好きなので楽しみに鑑賞しました。
あらすじ | 感想 |
〇あらすじ
若くして出世のチャンスをものにしたエリート医師レイノルズ(ウディ・ハレルソン)。
ある日彼は前科5犯の凶悪犯罪者ブルーの診断を任される。
なぜならば、ブルーは末期癌に侵されていたのだ。
診断の結果、彼の命はひと月程だった。
病院は彼をお決まりのガン施設に送ればいいと判断するが、レイノルズは心無い病院の決定には素直に従えないものがあった。
それは彼の兄も16歳にして癌で命を落としていたからだ。
いや、最後の幕は兄の願いからまだ少年だったレイノルズが延命装置のコンセントを抜いたのだ。
ある日、警備の隙をついてブルーはレイノルズを人質に逃走する。
銃で脅されたレイノルズはブルーを乗せてネイティブアメリカン-ナバホ族の保留地へ車を走らせることになる。
出世のチャンスだった夜を不意にされた上、銃を突き付けられ運転手をさせられるレイノルズは穏やかじゃない。
身勝手な犯人ブルーに反発を抱きながら2人の旅は始まった。
だが居留地までの長い道のりはブルーの体力を奪っていく。
「祈祷師が言ったんだ。聖なる山の頂には湖がある。そこに入れば全てを治してくれる。」
「それが在ればいいだろうさ。だがそんなものはどこにもない。当てのない話だ。病院へ行こう。」
「あんたは何もわかっちゃいない。」
そんな会話が繰り返される旅だった。
居留地まであと80km、ついにブルーの身体に限界の兆しがあらわれた。
「死んでしまうぞ!病院へ行くべきだ。」
今回ばかりはブルーの威圧にも屈しなかった。
「もういい。ここからは俺一人で行く。あんたを解放してやる。」
だがブルーの身体には直ぐにでも抗生物質の投与が必要だった。
レイノルズはひとりの人間として、どうしてもブルーを見殺しにすることができなかった。
彼は近くの病院に行き、必要な薬を得るために罪を犯してしまう。
警察、FBIの認識は人質レイノルズから犯罪者レイノルズへと変わってしまった。
彼は何のために「聖なる山」を目指すのだろうか。
そこには何の意味があるのだろう。
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あらすじ | 感想 |
〇感想
この映画は幸福なエリート医師とゴミ溜めを生きて犯罪者となった真逆な2人が旅をするロードムービーだけど、最終的には「死について」哲学的な意味合いを持つ内容となっています。
これはマイケル・チミノ監督の心にある哲学的な部分を映画にしたものだろうと思う。
もうネイティブアメリカンが出てきたところで何となくわかった人もいるかもしれませんね。
つまりは「調和」だと思うのです。
全ては調和のもとに成り立つもの。
この世は不意に多くのものを与えて、多くのことを奪っていく。
それは悲しいことではあるが、決して不幸なこととは限らない。
解りやすく言えば、おそらくは「死にざま」ではなくて「生きざま」ということなのだろう。
きっとマイケル・チミノ監督は延命治療などを凄く否定する人なのでしょうね。
もしかしたら安楽死を肯定しているのかも。
そのような要素がこの映画にもありました。
●兄の意志のまま延命装置のコンセントを切った。
●罪を犯してでもブルーを助けて「聖なる山」を目指した旅路。
この2つは同じことなんですね。
「聖なる山」とは生の終着駅なんだと思うのです。
レイノルズは「ブルーが望んだ死に際」を助けてあげたんです。
そして、これらの事柄は、幼い自分が兄を殺したのではなく、兄の尊厳を守った事だと気付かせてくれたのです。
「君に救われた。」
レイノルズの言葉にはそういう意味が込められています。
そして実は兄の「尊厳」が込められた指輪をブルーに渡します。
とても胸が熱くなる場面でした🔥
映画の内容としてはとても良いものでした。
ただ、そんな良い内容の映画が、いま一つ心に響かなかった。
たぶん、それはブルーの人物像なのだとおもう。
ちょっとブルーに対して掘り下げが足りない気がします。
さっきも書いた通り「死に際」に満足するってことは。それなりの「生きざま」を示す必要もあると思うのです。
それは「大きなことをやり遂げた」ことではなく、自分の中で納得できる生き方ができたかだと思う。
ブルーは果たして納得いく「生きざま」だったのだろうか?
家庭環境からお決まりの犯罪者となってしまった彼は納得いく「生きざま」を示すことができたか?
この辺をもう少し深く掘り下げてほしかった。
「悪いことはしたけど、自分はこれだけは心に誓って守ってきたんだ。」ってものを見せてほしかったなぁ。
この映画は最後の最後まで湖がブルーの病気を治すという前提のまま終わってきます。
もしかして映画を観た人によって、この映画のとらえ方は様々なのかもしれません。
だからここに書いた事は僕の個人的な解釈ってことです。
ロードムービーから「死」という難しいテーマを扱った興味深い映画だと思いました。
そして自分なりの解釈を心に思い描くのが面白いですよ。
お勧めですよ。
それにしてもこんな感じでオーダー取りに来たら目のやり場に困ってしまいますね💘
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