劇場版アニメ『ジョゼと虎と魚たち』
★★★★☆
原作 田辺聖子
監督 タムラコータロー
脚本 桑村さや香
制作会社 ボンズ
配給 松竹
上映時間 98分
こんにちは、しんじです。
今回は前々から見たいと思っていた劇場版アニメ『ジョゼと虎と魚たち』を観ましたので感想を書きますね。
映画館で予告編を見た時から凄く気になっていたアニメです。
・タイトルがインパクトありすぎ!
・ダイビングが描かれている。
・足に障害がある女の子が海とどのように関わっていくのか?
この3つがすごく気になる点でした。
あらすじ | 感想 |
〇あらすじ
海洋生物学を学ぶ大学生の恒夫は、メキシコ留学を目標にダイビングショップをはじめ、いろいろなバイトをしながら、その資金を貯めていた。
ある夜、坂道から車いすに乗った女の子が転がってくる。
恒夫と衝突しケガもなかった女の子は久美子という名だった。
久美子の祖母は『世の中は虎のように怖いものばかり』と、久美子を夜にしか散歩に連れて行かない。
久美子を助けたお礼も兼ねて恒夫はその夜夕ご飯に招かれる。
そこで祖母に久美子の面倒を見るバイトを依頼される。
時給が良いことに恒夫は引き受ける。
恒夫が久美子を『久美子』と呼ぶと、久美子は『私はジョゼや!』と言う。
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あらすじ | 感想 |
〇感想
どうやらこのアニメは田辺聖子さんの同名小説をモチーフに作り直したストーリーのようですね。
原作はもっと障害者の人と健常者の人の心の内面を描いているという声も聞こえてきます。
劇場用アニメとしてはもう少し華のあるテーマにしたかったのでしょう。
それが『夢に向かって折れない心』です。
原作ファンからしてみるとまるで取ってつけたように見えたでしょう。
しかしこれが中々に涙を誘う感動に仕上がっていました。
ジョゼが絶望の中「私はもう望みたいものに手を伸ばさない」と声を張り上げて言う場面。
恒夫が「だったら、なんでそんな悲しそうな顔をしているんだよ。」と返すセリフは凄く良かったです。
これは脚本の桑村さや香さんは素晴らしいと思いました。
それとジョゼが手作りの絵本を読み聞かす場面。
『ここは泣かせに来るのだろうな。』と構えていてもやっぱり涙をこらえることが出来なかった。
最高の絵本だぜ!
だけど幼児には難しすぎるぜ!っと。
そして僕がこの映画一番好きなの場面は恒夫がジョゼを抱えて波打ち際に行く場面。
もう最高の青春場面だ!
これはアニメだからこそ美しく描かれる場面です。
いつも何かを内に溜め込めるジョゼが、思いのまま笑顔でいられた瞬間。
この場面を見るだけでもこのアニメを観てよかったと思えました。
ここの画像は貼りません。
是非、本編をご覧になってください。
とここまでは良かった点です。
ここから少し気になった点。
まずはダイビングショップのアルバイトは非現実的だった。
あのスタッフがインストラクターやガイドならいざ知らず、都市ショップに受付や店管理のバイトを3人も雇うなんてあり得ません。
せめて器材量販店とかにすべきだったと思う。
細かいですが、ダイビング業界に片足を入れている身としては見逃せない。
それと業界にいるものが沈船内でエアー切れはあっちゃいけないし、急浮上しすぎなのもダメ。
もう少しダイビングについて取材をしてほしかった。
まぁ、これはダイビングインストラクターの戯言なのですが・・・
もうひとつはジョゼの性格がきつすぎること。
たぶん原作のジョゼの性格をそのまま転用しているのだろうけど、このアニメのストーリーには少しきつすぎる。
もう少しマイルドにしたほうがよかったと思う。
はっきりいうと、『その性格じゃ恒夫がもたないぜ!』と心配になってしまう。
ジョゼのこのきつい性格が魅力でもあり、時に笑いを誘ったりもするけど、それでも彼女の『身勝手さ』が鼻についてしまったひとも少なくないはずです。
まぁ、このアニメの恒夫も少々ひとの心の奥の心情を察することが出来ない性格だったけど。
まとめると劇場アニメ版のストーリー・脚本は良かったのだけど、それならばジョゼの人間性もこのストーリーに合わせて、ちょっぴり見直してみるべきだったと思う。
少し改変したストーリーとの間に不協和音が生じた感じでした。
でも、新海誠の『君の名は』みたいな話題性だけの首をかしげるようなアニメに比べれば、天と地ほどに差があるほど素晴らしいアニメだと思います。
ぜひ、ご覧になってみてください。
おススメです。
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