「エール!」の感想・レビュー(ネタバレ有り)

エール!エール!
★★★☆彡
監督 エリック・ラルティゴー
脚本 ヴィクトリア・ベドス
制作国 フランス
上映時間 105分

こんにちは、しんじです。
先週は『CODA あいのうた』で心が洗われたわけですが、この映画はアメリカリメイク版でした。
ならば原作の『エール!』を見る必要がある!
というわけで、今回は『エール!』の感想を書いていきたいと思います。
なお、あらすじはほぼ同じなので、『Coda』と『エール!』の違いを交えながら書いていきたいと思います。
PukuPukuMarine〇感想

良くも悪くもフランス映画の色が出ている映画だと思いました。
僕はそんなに多くのフランス映画を観ているわけではありませんが、どことなく『最強のふたり』と似たような空気感があります。

題材が聴覚障害の人を取り扱っているけれども映画自体は明るく少し楽観的な感じがする作風なのは、おそらくフランスのお国柄が影響しているのではないかと推測します。

Coda』では家族の仕事漁師で、それは濁った海の上で船という囲まれた空間、そして家族を取り巻く環境は若干の差別があり、家族はあまり社交的ではない。

エール!

それに対し『エール!』牧草地という広い空間での酪農で作ったチーズや野菜を市場で売るのが仕事で、取り巻く環境は障害者への理解ある人々を多く登場させ、お父さんは今の現状を変えるため選挙に立候補するという前向きな家族となっている。

エール!

当然、そんな家族だから映画自体は明るく進んでいく。
だが、このベクトルが変るのが娘のポーラがパリへ歌の夢を持ち始めてからだ。

突如として家族は悲観的になっていく。
特に母親の取り乱しようは『Coda』以上かもしれない。

エール!

自分たちだけが田舎町に取り残され、自分たちにはできない歌を歌うという娘に若干嫉妬をするというね。

この陽と陰の対比により家族の心情を描いていくのが『エール!』の特徴だろう。

娘ポーラの心情も家族がうまくいっている時はさほど腹に抱える鬱憤などは表現されていない。これが顕著に表れるのは、やはり歌というものに夢や希望を持ち始めてからだ。

Coda』と比べると『エール!』の方が現実的に思える世界だと思った。

しかし、やはり映画に期待するのはもっとエモーショナルなもの。
そこを上手く表現したのは『Coda』だと思う。

あと『エール!』には家族の中にポーラを味方をするの存在がないのは寂しいところだ。
家族がある程度うまくいっている為に存在させる意味もなかったのだろう。

この『エール!』の中で唯一その存在感で優っていたのは音楽の先生だ。

エール!

プライドと優しさとちょっぴりの厳しさを持つ先生は『Coda』のようにわざとらしい存在ではなかったのがよかった。
Coda』の先生は、はっきりいって先生ぽくなかったですからね。

コーラス部の発表会の演出などは『エール!』で用いた者なんですね。

『エール!』という優れた素材をさらに上手に仕上げたのが『Coda』という感じがしました。

でもきっとフランス映画が好きな人は『エール!』の方が好きだと思います

僕はエモーショナルな映画が好きなので『Coda』の方が好きでした。

Coda』を観て感動した人は是非、その原作の良さも知ってほしいという思いです。
お勧めですよ

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「Coda あいのうた」の感想・レビュー(ネタバレ有り)

codaCoda コーダ あいのうた
★★★★★プラス★★★★★
原作「エール!」
監督・脚本 シアン・ヘダー
配給 ギャガ
上映時間 111分

こんにちは、しんじです。
最近、少し映画レビューは滞っていますが、しっかりとこの映画レビューのページは続けて行こうと思ってます。

さて、今日のレビューは「Coda あいのうた」です。
この映画は2021年のアメリカの映画で、フランス映画「エール!」のリメイク版です。

聴覚障害という凄くデリケートな題材の中、コメディと愛を上手く表現した傑作映画です。
もう観られた方も多いのではないでしょうか?

PukuPukuMarine

あらすじ 感想

〇あらすじ
アメリカの港町、家族で漁師を営むロッシ家。
Coda

家族は娘のルビー以外は聴覚障害を持っていた。
これは特別なものではなく自然の流れ、家族は仕事でもプライベートでも唯一耳が聞こえる娘ルビーを頼りとしていた。

そして思春期を迎えるルビーもそれを当たり前と受け入れながらも鬱積したものを抑えつけ隠していた。

高校生のルビーは気になる男の子が選択授業で合唱クラスに入るのを聞き、その後を追い合唱クラスを選択する。
もともと音楽が好きで船の上でも歌を歌っていたルビーの歌声に音楽教師ベルナルドは可能性を見出す。
coda

ベルナルドの特別授業を受けながらボストンの音楽学校へ進む夢を心の中で育むルビー。
音楽はルビーにとって心の解放そのものだった。
そしてその音楽によって家族からの束縛からも解放される….

しかしルビーは家族を愛し、また父、母、兄もまたルビーを愛していることも知っている。

家族を捨てることはできず、夢をあきらめようとするルビー。
彼女の本心を知りながらルビーに頼らざるを得ない家族。

兄のレオは自分を犠牲にするルビーに怒る。

そしてルビーの合唱クラスの発表会を観に行くロッシ家族。
Coda

父フランクは赤いドレスを着て歌うロビー、そして周りの観客を観て何かを思う。

星空の下、ルビーに頼みごとをする。
ルビー、俺のために今ここでもう一度歌ってくれ。

Coda

父フランクは手のひらを喉元にあてルビーの歌声を感じる。

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あらすじ 感想

〇感想
これは是非観てほしい映画です。
ここ何年間で抜きんでる映画だと思いました。

父、母、兄が三者三様、心に抱える葛藤やルビーに対する想いがそれぞれ違っている。

それが映画を通して少しずつ見えて来る素晴らしさよ。

僕はこの映画で3カ所涙が出た。

その中のひとつ、兄レオが自己犠牲をするルビーに怒る場面だ。
そこで兄がわざと嫌われるようにルビーをののしるのは心に刺さった。
Coda

星空の下で父だけに歌う場面も素晴らしかった。
これはとにかく合唱発表会でのあの演出があったからこその場面ですね。
映画見ながら感心しました。
素晴らしい演出ですね。

そしてラストの大学のオーディション。
Coda

もう崩壊です。
とめどなく流れる涙
これは大げさではなく涙で心を洗いたい人は絶対に観たほうがいいです。

超々お勧めです。
評価は5+αですね。
こういう素晴らしい映画に出会えるから映画レビューはやめられません。
サウンドトラックも欲しくなる映画ですね

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SF超大作「ムーンフォール」の感想・レビュー(ネタバレほぼなし)

ムーンフォールムーンフォール
★★☆彡☆☆
監督 ローランド・エメリッヒ
脚本 ローランド・エメリッヒ
配給 Amazon Prime Video
上映時間 130分

こんにいはしんじです。
今回は「インデペンデンズ・デイ」からたくさんのSF大作を世に出してきたローランド・エメリッヒ監督の最新作『ムーン・フォール』の感想を書きます。
この映画の日本公開は例のごとくAmazon Prime Videoが配信上映という形で行われました。
やはりこの先映画の公開はこういう形で行われることが多くなるのでしょうか?
自分としてはやはり超大作は映画館で観たいものです。

さて、この映画はまだ上映して1日しかたっておりませんので、ネタバレは極力しないように映画の感想のみをさっくりと書きますね。
PukuPukuMarine

あらすじ 感想

〇あらすじ
元宇宙飛行士ブライアン・ハーパー(パトリック・ウィルソン)のもとにK・C・ハウスマン博士(ジョン・ブラッドリー)がたずねて来る。

ムーンフォール

「月の軌道が変っている。僕のいう事じゃ信じない。NASAへ連絡してくれ!」

同じころNASAにても月の軌道の異変に気付き、このままでは「地球に月が落ちて来る」と混乱を極めていた。

ムーンフォール

ほんの数週間で地球は滅亡する。
政府の決定はあらゆる核ミサイルを月に向かって発射するという何にも解決しないものだ。

しかし月には秘密がある気づいたジョー・ファウラー(ハル・ベリー)はブライアンを呼び寄せ、ある作戦を決行しようとする。

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あらすじ 感想

〇感想
ザックリと感想を書くとこんな感じです。
このあらすじにいろいろとヒューマンドラマやら壮大な宇宙の物語などを上乗せしています。

さて、今回は良くなかったなぁ・・・残念!!

映画は130分とまぁまぁの尺があるのですが、だいたい2部構成になっています。
最初の1時間で各登場人物の紹介とその人物を取り巻くドラマ、そして地球の危機的状況を詰め込んで月に到着するまでを描いている。
とにかく60分でこの量をこなすために、余分な場面は極力カット。
さっきまで私服だった人物が次のカットでは既に宇宙服に着替えて宇宙船に乗り込む場面になっている。といった感じでまるで総集編を見ている感じ。
そんな感じでドラマ部分もやるのだから感情移入などできるはずもない。

そして「もう星をぶつけるしかない」って感じだったんですかね。ディザスター映画は全てやりつくしたもんね。
でもさ、月が大気圏に突入しているところまで来たらさ、もう終わってる状態だと思うのですよ。

そこでカーチェイスやら岩から身を守るとか・・・そんなレベルではなくて、地球上のものは塵になっているんじゃないのかな?
これって多分もうSF映画だからで済むレベルじゃなくて失笑レベルです。

さらにディザスター映画あるあるで元妻の再婚相手を意味もなく殺してしまうというね。

この映画ってSF映画あるある描く自虐映画なのかなとさえ思ってしまいます。

これはかなり評判悪い映画になるのではなでしょうか?

個人的に悪い点を箇条書きにしてみよう。
〇ディザスターとしての見せ場である地球の壊れ方も目新しさがなかった
〇「こいつ必要?」という登場人物が多かった。
ムーンフォール
中国マネーの匂いがする。
〇もうディザスターのレベルではない題材だった。

たぶん、月が落ちるくらいのどうしようもないレベルの話だったら、もう地球を救う話ではなくてヒューマンドラマに全フリすべき題材なんだよね。
その良い例が「ファイナル・アワーズ」だと思います。

印象としては海外SFドラマ10話を2時間にまとめた総集編って感じの薄味超大作です。

パトリック・ウィルソンは「死霊館」以来好きな俳優なのでもっと良い映画にでてほしいな。

ということで久しぶりのディザスター超大作なので、みんなでワイワイと観る分には楽しめるかもしれません。
保証はできませんが(-。-)y-゜゜゜

あらすじ 感想
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劇場版アニメ「ジョゼと虎と魚たち」の感想・レビュー(ネタバレ有り)

ジョゼと虎と魚たち劇場版アニメ『ジョゼと虎と魚たち』
★★★★
原作 田辺聖子
監督 タムラコータロー
脚本 桑村さや香
制作会社 ボンズ
配給 松竹
上映時間 98分

こんにちは、しんじです。
今回は前々から見たいと思っていた劇場版アニメ『ジョゼと虎と魚たち』を観ましたので感想を書きますね。
映画館で予告編を見た時から凄く気になっていたアニメです。

・タイトルがインパクトありすぎ!
・ダイビングが描かれている。
・足に障害がある女の子が海とどのように関わっていくのか?

この3つがすごく気になる点でした。

PukuPukuMarine

あらすじ 感想

〇あらすじ
海洋生物学を学ぶ大学生の恒夫は、メキシコ留学を目標にダイビングショップをはじめ、いろいろなバイトをしながら、その資金を貯めていた。
ある夜、坂道から車いすに乗った女の子が転がってくる。
恒夫と衝突しケガもなかった女の子は久美子という名だった。

久美子の祖母は『世の中は虎のように怖いものばかり』と、久美子を夜にしか散歩に連れて行かない。

久美子を助けたお礼も兼ねて恒夫はその夜夕ご飯に招かれる。

そこで祖母に久美子の面倒を見るバイトを依頼される。
時給が良いことに恒夫は引き受ける。

恒夫が久美子を『久美子』と呼ぶと、久美子は『私はジョゼや!』と言う。

ジョゼと虎と魚たち

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あらすじ 感想

〇感想
どうやらこのアニメは田辺聖子さんの同名小説をモチーフに作り直したストーリーのようですね。
原作はもっと障害者の人と健常者の人の心の内面を描いているという声も聞こえてきます。
劇場用アニメとしてはもう少し華のあるテーマにしたかったのでしょう。
それが『夢に向かって折れない心』です。

原作ファンからしてみるとまるで取ってつけたように見えたでしょう。
しかしこれが中々に涙を誘う感動に仕上がっていました。

ジョゼが絶望の中「私はもう望みたいものに手を伸ばさない」と声を張り上げて言う場面。
恒夫が「だったら、なんでそんな悲しそうな顔をしているんだよ。」と返すセリフは凄く良かったです。

ジョゼと虎と魚たち

これは脚本の桑村さや香さんは素晴らしいと思いました。

それとジョゼが手作りの絵本を読み聞かす場面。
ここは泣かせに来るのだろうな。』と構えていてもやっぱりをこらえることが出来なかった。

最高の絵本だぜ!

だけど幼児には難しすぎるぜ!っと。

そして僕がこの映画一番好きなの場面は恒夫がジョゼを抱えて波打ち際に行く場面。

もう最高の青春場面だ!
これはアニメだからこそ美しく描かれる場面です。

いつも何かを内に溜め込めるジョゼが、思いのまま笑顔でいられた瞬間。
この場面を見るだけでもこのアニメを観てよかったと思えました。

ここの画像は貼りません。
是非、本編をご覧になってください。

とここまでは良かった点です。

ここから少し気になった点
まずはダイビングショップのアルバイトは非現実的だった。

あのスタッフがインストラクターやガイドならいざ知らず、都市ショップに受付や店管理のバイトを3人も雇うなんてあり得ません。
せめて器材量販店とかにすべきだったと思う。
細かいですが、ダイビング業界に片足を入れている身としては見逃せない。
それと業界にいるものが沈船内でエアー切れはあっちゃいけないし、急浮上しすぎなのもダメ。
もう少しダイビングについて取材をしてほしかった。
まぁ、これはダイビングインストラクターの戯言なのですが・・・

もうひとつはジョゼの性格がきつすぎること。
ジョゼと虎と魚たち

たぶん原作のジョゼの性格をそのまま転用しているのだろうけど、このアニメのストーリーには少しきつすぎる。

もう少しマイルドにしたほうがよかったと思う。

はっきりいうと、『その性格じゃ恒夫がもたないぜ!』と心配になってしまう。

ジョゼのこのきつい性格が魅力でもあり、時に笑いを誘ったりもするけど、それでも彼女の『身勝手さ』が鼻についてしまったひとも少なくないはずです。

まぁ、このアニメの恒夫も少々ひとの心の奥の心情を察することが出来ない性格だったけど。

まとめると劇場アニメ版のストーリー・脚本は良かったのだけど、それならばジョゼの人間性もこのストーリーに合わせて、ちょっぴり見直してみるべきだったと思う。
少し改変したストーリーとの間に不協和音が生じた感じでした。

でも、新海誠の『君の名は』みたいな話題性だけの首をかしげるようなアニメに比べれば、天と地ほどに差があるほど素晴らしいアニメだと思います。
ぜひ、ご覧になってみてください。
おススメです。

あらすじ 感想
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「Mr.ノーバディ」の感想・レビュー(ネタバレ有り)

Mr.ノーバディMr.ノーバディ
★★★☆彡
監督 イリヤ・ナイシュラー
脚本 デレク・コルスタッド
配給 東宝東和
上映時間 91分

こんにちは、しんじです。
こんなに映画感想に日を開けたことなかったですね。
半年ぶりくらいでしょうか?
実はその間、小説を書いたりして過ごしていました。
その小説がひと段落したので、新作を書くまでに映画のレビューをしてみようと思います。

今回レビューする映画は「Mr.ノーバディ」です。
実はずいぶん前に鑑賞した映画で、感想を書こうと思いながらもなかなかてをつけることが出来ず、やっと今回UPできます。
2021年のアクション映画、PVを観てダメ親父がどのような形で事件に巻き込まれていくのかが興味深くてAmazonビデオで観ました。
主演はボブ・オデンカークという俳優さんで、たぶん日本で知っている人は少ないのではないでしょうか?(私も知りませんでした。)
長年、コメディーに関わってきた人で放送作家など制作側でも活躍した人らしいです。
でも、その無名っぷりが逆に今回の映画にインパクト付ける効果となっています。

PukuPukuMarine

あらすじ 感想

〇あらすじ
工場勤務の中流の下というくらいの家庭。
親父は冴えず、息子からは軽視される存在。
夫婦間のラブロマンスなどあるわけもない。
そんな家に強盗が侵入。

Mr.ノーバディ

だが父親のハッチは息子の前で、すごすごと尻尾を巻いて強盗を見逃してしまう。
そんな父親に落胆する息子

翌朝、息子は情けない父親を軽蔑していた。

Mr.ノーバディ

だが娘が自分の大切なブレスレットがないと悲しむ。

強盗が盗んだのだ。

ダメ親父のハッチは意を決して強盗の居場所を突き止めて取り返そうとするが・・・

Mr.ノーバディ

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あらすじ 感想

〇感想
先にも言った通り、主人公の俳優を全く知らない事がこの映画を余計に面白くさせている。
ダメダメ親父がせめて娘のブレスレットを取り戻そうと奮起して行動を起こす。

が、なんかFBIの身分証やら拳銃をクローゼットから取り出したあたりから一気にダメ親父ハッチの正体が怪しくなってくる。

Mr.ノーバディ

このあとロシアンマフィアと関わってしまいトラブルへと発展していくのだが、きっかけが実に面白い。

『正義』?いや、そんな大層な大義じゃない。

きっかけは、単にハッチのストレス発散なんだ。

ロシアンマフィアのチンピラなんてわざわざ相手にすることもなかったのに、強盗からブレスレットを取り戻せなかった腹いせにロシアンマフィアを徹底的にぶちのめし全員重体にしてしまう。
その戦いっぷりが、ステイサムやセガールのようにスマートじゃないところがよかった。
単に軍人上がりの強い兵士が自分もズタボロになりながらも徹底的に相手をやっつけるところがリアル面白い

Mr.ノーバディ

その後はお約束どおりロシアンマフィアの報復に家族を巻き込んでいってしまう。
そうなると、もう殺るか殺られるかの闘いになっていく。

しかし、ハッチの動きが戦闘を重ねるごとに良くなっていく。

そしてハッチの本当の正体が判明するわけだけど、ここで気に入った場面がある。

それはハッチがその裏家業を抜けた理由だ。

それはイタリアの軍基地から300万ドルを盗み出した男を始末する仕事だった。
だけど、ちょっとした気の迷いにその男に温情をかけて逃がした。
1年後、逃がした男はどうせまた同じようにクソ野郎に成り下がっているだろうと思って見に行くと、きっぱりと足を洗い、温かな家庭の中、幸せそうな顔をして暮らしている。

Mr.ノーバディ

その光景にハッチが嫉妬するところが主人公の歪みっぷりを表現していて実に面白かった。

『それなら自分も』ということで引退して家族を作ってみたものの、日々、体の中にストレスが溜まっていく。

そのはけ口がロシアンマフィアとの抗争になっている。

結局、ハッチ、ハッチの実父、ハッチの異母兄弟3人でロシアンマフィアをつぶすのだが、結局3人のストレス発散なのだ。

一番の被害者はロシアンマフィアのボスなのだ。

Mr.ノーバディ

そんな歪んだストーリーがこの映画の面白みになっていると思う。

だけど、これは賛否別れると思うが、僕はやっぱり最初のバスの中の戦闘レベルが一番良かった。
あれくらいが一番生々しくて実は恐ろしいと思う。
実際の強い男のリアルな強さなのではないだろうか?

徐々に昔の水に慣れていくハッチも面白いのだが、最終バトルではどこにでもあるアクション映画になってしまった感が僕の中にあった。

そのレベルになるとステイサムやセガールの世界になってしまう。

そういう意味で3.5と厳しめの評価をつけさせてもらいました。

でも、主人公の『歪んだ感』がとっても面白いアクション映画です。
おススメの映画です!

あらすじ 感想
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